ご家庭の電気料金を可能な限り抑えたいとお考えの方へ、本記事では様々な節約方法をお届けします。
日常生活で手軽に取り入れられる簡易的な節約方法から、電力事業者との契約見直し、省エネ性能に優れた家電製品への更新まで、具体的かつ分かりやすく解説します。
ご家族の暮らし方に応じて、無理なく継続できる電気料金の節約方法を一緒に探していきましょう。
- 電気代を節約する方法
- 1ヶ月の平均電気料金
- 電力料金プランの見直しポイント
目次
電気料金の節約は「構造の理解」から
電気料金を減らすには、まず電気料金の構造を把握することが重要です。
電気料金は、次の3つの要素から構成されています。
- 基本料金:契約中のアンペア数に基づいて決定される月々の固定コスト
- 従量料金:消費した電力量に応じて変動するコスト
- その他コスト:再生可能エネルギー賦課金や燃料費調整額など
基本料金は「契約アンペア数」が大きいほど高額になります。必要以上に大きなアンペア契約になっている場合、見直すだけで削減に繋がることもあります。
このような電気料金の構造を把握することで、家庭の電力消費状況を客観的に見直すことが可能になります。
「どの時間帯に電力を多く消費しているか」「無駄に稼働している家電製品はないか」などを確認すれば、具体的な節電ポイントも明確になってきます。
1ヶ月の平均電気料金はどのくらい?
電気料金の節約方法も重要ですが、まずは「自分の電気料金が平均と比べてどうか」を知ることも大切です。
2024年の総務省「家計調査(家計収支編)」によると、総世帯の平均電気料金は月額10,027円でした。
総世帯データを世帯人数別に確認すると、以下のような傾向が確認できます。
世帯人数別の電気代平均
| 世帯人数 | 月額平均 |
|---|---|
| 全世帯平均 | 10,027円 |
| 単身世帯 | 約6,756円 |
| 二人世帯 | 約10,878円 |
| 三人世帯 | 約12,651円 |
| 四人世帯 | 約12,805円 |
| 五人世帯 | 約14,413円 |
| 六人以上世帯 | 約16,995円 |
各地域の電気代も、気候や住環境により大きく異なります。
2024年地方別の電気代平均
| 地域 | 月額平均 | 概要 |
|---|---|---|
| 全国平均 | 13,171円 | 全体の基準値 |
| 北海道 | 13,418円 | 冬季の暖房使用多く全国より高い |
| 東北 | 16,308円 | 寒冷地で暖房ニーズ高い |
| 関東 | 12,625円 | 平均より低め |
| 北陸 | 17,633円 | 厳冬・暖房需要の高さが反映 |
| 東海(中部) | 12,994円 | 全国平均とほぼ同水準 |
| 近畿(関西) | 12,303円 | 暖房冷房いずれも控えめ |
| 中国 | 14,994円 | 冬暖房の影響でやや高値 |
| 四国 | 14,373円 | 夏の冷房比率が高め |
| 九州 | 11,582円 | 温暖、冷暖房とも控えめ |
| 沖縄 | 13,096円 | 冷房メインだが温暖 |
同様の生活をしているのに、地域によって電気料金が異なる理由は何でしょうか?
その理由は、大きく3つのポイントに分けられます。
- 気候条件の違い
寒冷地は暖房、温暖地は冷房の使用が多く、電気料金に差が生じます。 - 住宅構造
戸建て住宅は熱が逃げやすく、電気料金が高くなる傾向があります。 マンションは省エネ性に優れる特性があります。 - 家電製品の使用方法
地域により使用する家電製品や使用時間が異なるため、電気料金も変わります。
ご自身の地域の月額平均より高かったり、世帯年収に対して高い傾向がある場合は、電気料金を見直すことが重要かもしれません。
電気料金が高額になる主な要因とは?
電気料金が高額になる背景には、様々な要因が存在します。
特に注目すべきポイントを以下にまとめました。
上記のポイントをチェックすることが節約方法となるため、順番に見ていきましょう。
原因① 古い家電製品の使用
古いエアコンや冷蔵庫を使い続けていると、最新の省エネモデルと比較して15〜35%も電力消費が高くなるケースがあります。
年数が経過した家電製品は効率が低下しており、電力を無駄に消費している可能性があるため注意が必要です。
- 目安は製造から10年以上経過
- 冷蔵庫、エアコン、洗濯機は特に電力消費が大きい
- 家電公取協「しんきゅうさん」で消費電力を比較可能
原因② 家電製品の手入れ不足
エアコンや換気扇、空気清浄機といった家電製品は定期的な手入れが削減の鍵です。
エアコンに自動掃除機能が搭載されている場合もありますが、汚れがひどい場合には落としきれないこともあります。
また照明器具の傘やカバーが汚れている場合、通常の明るさでも暗く感じることがあるため、どのような家電製品でも定期的な手入れをすることで削減に繋がります。
原因③ ライフスタイルの変化
家族が増加したり、在宅時間が延びたりすることで、照明・冷暖房・家電製品の使用時間が自然と増加します。
特にリモートワークが増加した家庭では、以前より日中の電力使用量が増えている可能性があります。
- 昼夜の使用時間のバランス
- 家族の生活リズムの変化
- 一日中稼働させっぱなしの家電製品がないか
原因④ 電気料金プランの不一致
現在の契約プランが、家庭の使用方法に合っていない場合も、無駄な電気料金の要因になります。
例えば、夜間割引型のプランを契約しているのに、日中に電力を多く消費している場合などです。
ライフスタイルに適した電気料金プランを選択することで、電気料金の削減に繋がります。
- 日中在宅が多い場合は「従量電灯プラン」が適するケースもある
- 各社の時間帯別プランや再エネプランなども確認
原因⑤制度的なコスト増加
電気料金には、以下のような個人では調整不可能な要素も含まれています。
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| 燃料費調整額 | 化石燃料の価格変動に応じて増減 |
| 再エネ賦課金 | 再生可能エネルギー導入のための全国一律料金 |
燃料費調整額や再エネ賦課金などは回避できない費用ですが、契約内容の見直しによって、実質的な負担を軽減することが可能です。
- 時間帯別プラン(夜間割引など)への変更
日中不在の家庭に有効 - 新電力事業者への切り替え
単価の安い事業者を選択できることもある - オール電化向け・太陽光対応プラン
使用状況に応じて効果的なケースがある
毎月何となく支払っているなら、電力事業者を切り替えてみるのも選択肢の一つです。
原因⑥ 待機電力の見落とし
電源を切っている家電製品でも、コンセントに差したままの状態では電力を消費していることがあります。
これが「待機電力」で、テレビや電子レンジ、ルーター、充電器などが該当します。
- 使用していない機器はコンセントから抜く
- 電源スイッチ付きの電源タップを活用
- 待機電力ゼロ設計の家電製品も検討
電気料金を節約するには電力料金プランの見直しがおすすめ!
電気料金を安くするためには、電力料金プランを見直すことが大きな節約方法の一つです。
2016年の電力自由化以降、私たちは自由に電力事業者やプランを選択できるようになり、「基本料金ゼロ」や「時間帯割引」など多様なプランが登場しています。
例えば、楽天でんきのように基本料金が0円のプランや、EVユーザー向けに安価な時間帯での充電を最適化するサービスなど、ライフスタイルに合ったプランを選択することで、無駄な出費を削減できます。
契約を見直す際は、使用量や時間帯に適しているかに加え、燃料費調整額などの変動費用や解約金の有無も忘れずに確認しましょう。
アンペア数の確認から始めよう
電力料金プランの見直しを行う前に、まずは契約中のアンペア数を把握することが重要です。
電気料金の内訳は基本料金・従量料金・その他の費用となっていますが、この中でも基本料金は契約アンペア数に直接連動して変動します。
アンペアとは1秒あたりに流れる電気量を表す単位で、アンペア数はご家庭で一度に使える電気の最大量を意味します。
契約アンペア数が大きければ大容量の電気を同時使用できますが、通常は複数の家電を同時に使わないご家庭では、より小さなアンペア数での契約が可能な場合があります。
現在の契約アンペア数は、毎月の検針票または分電盤を見れば確認できます。
今の契約プランが適切か検証しよう
アンペア数が分かったら、次は契約中のプランが適切かどうかを検証しましょう。
たとえば、契約アンペア数が実際の電力利用状況と比べて著しく大きい場合、アンペア数を下げることで料金を抑えられます。
さらに、電力の使用時間帯が比較的決まっているご家庭では、時間帯ごとに料金単価が変わるプランへ切り替えることで、お得になるケースもありますので検討する価値があります。
電力事業者の切り替え手続きを進めよう
現行の電力料金プランを確認して、プラン変更により料金が安くなることが判明したら、電力事業者の切り替え手続きを進めましょう。
切り替えの流れは非常にシンプルで、新規の電力事業者へ申し込むだけで完了します。
- 今の契約内容を把握する
- 切り替え先となる電力事業者を選定する
- 新しい事業者へ申し込む
- 切り替え完了通知を受け取り内容を確認する
切り替えの際、現契約の解約手続きは基本的に不要で、新規の電力事業者側で解約処理を代行してくれます。
新プランへ申し込み後は、切り替え完了の通知を待つだけです。通常、電気が使えなくなる期間は発生しません。
電力事業者の切り替えは原則自由ですが、現在のプランに契約期間の制約がある場合は留意が必要です。
今日から始められる電気料金節約術6選!
毎日の暮らしの中で実行できる節約テクニックは、「使用方法を少し変えるだけ」で効果を発揮するものが中心です。
追加コストをかけずに今すぐ開始できる方法をご紹介します。
洗濯はまとめ洗いで回数削減
洗濯の頻度は世帯構成やライフスタイルにより異なりますが、可能な限りまとめ洗いを実践して回数を減らすことが削減につながります。
- まとめ洗いで洗濯頻度を下げる
回数が減れば電気料金も水道料金も両方削減できます ただし詰め込みすぎると汚れ落ちが悪くなるので注意 - 洗剤は適正量を守る
多すぎるとすすぎ回数が増え、少なすぎると汚れが落ちないため適量が大切 - スピードモードやお急ぎモードの利用
汚れが軽い場合はこれらのモードで十分な場合があります - 料金の安い時間帯を狙う
時間帯別料金プランを契約中なら、安い時間帯に洗濯すると効果的 - フィルター清掃を習慣化
フィルターに詰まりがあると洗浄力や乾燥力が低下します
エアコンの温度設定を見直す
エアコンはご家庭における電力消費の大部分を占める家電です。
適切な使い方を実践すれば、大幅な節電が見込めます。
- 温度設定の最適化
冷房時は26〜28℃、暖房時は18〜20℃を目安に。1℃の調整で約10%の節電に。 - 自動運転の活用
風量を自動設定にすることで、無駄な電力消費を防止。 - フィルター清掃(2週間ごと)
5〜15%の節電効果が得られます。 - 室外機周辺の環境管理
吹出口を塞がない、日陰を作るなどで効率向上。 - 短時間外出時は連続運転
再始動時の電力消費を避けられます。 - カーテンで室温管理
カーテンで直射日光を遮ると室温上昇を抑え、冷気も逃げにくくなります
家電製品のメンテナンスを習慣に
高性能な家電でも、ホコリや汚れが溜まれば効率が落ち、余分な電力を消費します。
メンテナンスの習慣化が節電の基本です。
- エアコン
フィルターのホコリで空気の流れが悪化し電力消費が増加 - 冷蔵庫
背面の放熱部分にホコリ → 冷却性能が低下 - 掃除機
ゴミ詰まりで吸引力が落ち → 電力の無駄 - 照明器具
汚れで明るさ低下 → 補うために電力増加
冷蔵庫の温度設定、食品の入れ方に注意する
冷蔵庫は年中無休で24時間動き続ける家電なので、ちょっとした工夫が大きな節電効果を生みます。
- 食品を詰め込みすぎない
- 熱い物は冷ましてから入れる
- 冷蔵室2〜6℃、冷凍室-20〜-18℃を目安に
- 冬季は設定を「弱」に変更
照明をLEDに切り替える
照明による電力消費は見過ごせません。
LED照明に変えるだけで、長い目で見て大幅な電気料金削減が実現します。
- 電力消費を最大71%カット
- 長寿命(最長約60,000時間)で交換の手間も削減
- 発熱が少なく空調の負担も軽減
- 紫外線・赤外線が少なく人にも物にも優しい
電気の使用量をチェックする
電気料金を削減するには、まず毎日の生活で「どれだけ電力を使っているか」を知ることが出発点です。
近年は、アプリやWebサービスで簡単に電力使用状況を確認できます。
- 電力事業者のアプリやWebで「見える化」
- 時間帯ごとの偏りを把握して改善策を実行
- スマートフォンの充電やアプリごとの電力消費もチェック
- 無駄を見つけて意識するだけでも節電効果が生まれる
電気代節約に関するよくある質問
電気料金を削減したいと思う方は多く、「本当に効果のある方法は?」「すぐ実行できることは?」といった疑問を持つのは当然です。
ここでは、よくある疑問にお答えしながら、今すぐ実践可能な電気料金節約術をご案内します。
ブレーカーを落とせば節電になる?
長期間留守にする場合は効果がありますが注意点もあります。
ブレーカーを落とすことで、テレビや電子レンジなどの待機電力(家庭全体の約5%程度)を削減できますが、次の点に留意してください。
- 録画予約などの設定がリセットされる
- 冷蔵庫内の食品が傷む
- 冬季は給湯器が凍結するリスク
- 一部家電が故障する可能性
日常的な節電には、節電タップの使用や不要な機器のコンセント抜きが安全で実用的です。
単身世帯でも電気料金は削減可能?
小さな工夫を積み重ねることで削減できます。
単身世帯でも、見直せる部分はたくさん存在します。まずは最初に契約アンペア数をチェックしましょう。
- 契約アンペア数が過大ではないか? 単身なら20A〜30Aで充分なケースが多く、基本料金を抑制できます。
- エアコンの温度設定を調整 冷房28℃、暖房20℃を基準に
- 冷蔵庫の開け閉め回数を抑える
- 日中は照明を消灯・夜間帯に洗濯
- 遮熱性カーテンや除湿機能を活用
加えて、省エネ機能付きの家電や電気毛布、パネルヒーターなど、電力消費の少ない製品選びも重要なポイントです。
オール電化でも節電は可能?
時間帯プランや設備の活用で大幅な節電ができます。
オール電化住宅は、調理・給湯・暖房をすべて電気で賄うため、電力使用量が多くなる傾向があります。しかし、以下の工夫で料金を抑えられます。
- 夜間電力が低料金のプラン(時間帯別プラン)を採用し、深夜時間帯に給湯・蓄熱を実施
具体例:エコキュートの深夜運転 - 太陽光発電システムと蓄電池の導入
日中に発電→夜間に使用、もしくは余剰電力の売電 - 古い設備(電気温水器や蓄熱暖房機)を最新の省エネ機器へ更新
夜間割引プランは本当にお得?
ライフスタイルと合致すれば、電気料金を大幅に下げられます。
夜間割引プランは、深夜から早朝にかけての電気料金が低料金になる仕組みです。
使用方法を工夫することで、節電効果が高まります。
- 食洗機や洗濯機、乾燥機など高消費電力の家電
ただし集合住宅では騒音への配慮が必要 - エコキュート(夜間での湯沸かし)
- 電気自動車の充電(EV専用プランを提供する会社もある)
- 日中の料金が割高設定されているケースもあるため、在宅時間が長い方には向かない場合もあり
- ライフスタイルとの適合性を電力事業者の料金シミュレーションで確認しましょう
まとめ|節電は「理解すること」と「継続すること」で成果が生まれる
電気料金を抑えるために、特別な技術や多額の費用が必要というわけではありません。
まずは、電気料金の構造を理解すること、日常の使用方法や契約内容を見直すことが、節電への第一歩です。
例えば、エアコンの設定温度を1℃調整するだけでも、年間で見れば大きな差額になります。
節電は「一度実施して終了」ではなく、「無理なく継続していくこと」が最も重要です。
できることから少しずつ取り入れていけば、いつの間にか電気料金の無駄が減り、家計にも余裕が生まれてきます。
本記事をきっかけに、あなたに最適な節電スタイルを発見して、毎月の電気料金をもっと賢く・効率的に管理していきましょう。