「ガス代が先月までは3,000円だったのに、今月は6,000円を超えている…」
急にガス代が倍になると、家計への負担も大きく不安になりますよね。
「うちだけ異常に高いのでは?」「ガス漏れや故障があるのでは?」と心配される方もいらっしゃるでしょう。
ガス代が倍になる理由には、季節・使い方・機器の劣化・料金の変更などがあります。まずは原因をはっきりさせることで、無駄を見直したり、効果的な節約ができるようになります。
この記事では、ガス代が倍になった原因を特定する方法、季節・生活スタイル・機器・契約面での具体的な原因、高くなったガス代を元に戻すための節約方法まで詳しく解説します。
目次
ガス代が倍になるのは異常?

ガス代が急に倍になると驚きますが、実は季節によってガス代が大きく変動するのは自然なことです。まずは平均的なガス代の変動について理解しておきましょう。
冬のガス代は夏の2倍以上が一般的
冬のガス代が夏の1.5〜2倍になるのは、多くの家庭で見られる一般的な現象です。
- 夏場(7〜9月):約3,298円
- 冬場(1〜3月):約6,035円
このように季節によってガス代が大きく変動する最大の理由は水温の違いです。夏場の水道水が20〜25℃なのに対し、冬場は5〜10℃まで下がるため、同じ温度のお湯を沸かすのに約2倍のガスが必要になります。
世帯人数別のガス代平均と比較
ご家庭のガス代が高いのか適正なのかを判断するには、まず世帯人数ごとの平均額と比べてみることが大切です。
| 世帯人数 | 月額ガス代平均 |
|---|---|
| 1人暮らし | 約3,056円 |
| 2人家族 | 約4,497円 |
| 3人家族 | 約5,121円 |
| 4人家族以上 | 約5,015円 |
これらはあくまで年間平均のため、冬場はこの金額の1.5〜2倍程度になることが一般的です。例えば1人暮らしなら冬場は4,500〜6,000円程度、4人家族なら7,500〜10,000円程度が目安となります。ご自身のガス代がこの範囲を大幅に超えている場合は、何らかの原因がある可能性があります。
季節・気温によってガス代が倍になる原因

季節による気温の変化は、ガス代に最も大きな影響を与える要因の一つです。ここでは、冬場にガス代が倍になる具体的な理由を解説します。
冬は給湯に必要なガス量が増える
冬場の水道水温度は夏場と比べて10〜15℃も低く、お湯を沸かすのに約2倍のガスが必要になります。例えば42℃のお風呂を沸かす場合、夏場(水温25℃)なら17℃上げればよいのに対し、冬場(水温5℃)は37℃も上げなければなりません。
一般的な200Lの浴槽を沸かすには、夏場は都市ガスで約2.5㎥ですが、冬場は約4.5〜5㎥必要です。食器洗いやシャワーも同様で、同じ設定温度でも冬場は使用ガス量が大幅に増えます。
暖房機器の使用で消費量が増える
ガス式暖房器具の使用開始は、ガス代を大幅に押し上げる要因です。床暖房を1日8時間使用すると1日あたり約200〜300円、ガスファンヒーターなら約150〜250円のガス代がかかります(都市ガスの場合)。
冬場に毎日これらの暖房器具を使用すると、月に6,000〜9,000円のガス代増加につながります。プロパンガスの場合はさらに1.5〜2倍程度高くなります。
暖房器具を使い始めた時期とガス代が倍になった時期が一致している場合、これが主な原因と考えられます。
お湯を使う頻度が増える
冬場は気温が下がるため、食器洗いや手洗いでお湯を使う回数が増えたり、シャワーの設定温度を高めにしたりしがちです。夏場は水で洗っていた食器を、冬はお湯で洗うようになると、毎日の積み重ねでガス使用量が増加します。
また、冬場は湯船に浸かる時間が長くなったり、シャワーの温度を夏より2〜3℃高く設定したりすることも多く、これらの小さな変化が積み重なってガス代の増加につながります。
生活スタイルの変化でガス代が倍になる原因

家族構成や生活リズムの変化は、気づかないうちにガス使用量を大きく増やす原因となります。ここでは、よくある生活スタイルの変化とガス代の関係を見ていきましょう。
家族が増えた・在宅時間が増えた
家族が増えたり、在宅勤務で家にいる時間が長くなったりすると、ガス使用量は自然と増加します。出産や同居、リモートワークへの切り替えなど、家族構成や生活スタイルが変わった時期とガス代が増えた時期が一致していないか確認してみましょう。
在宅時間が増えると、昼食の調理や日中の給湯使用が増えます。
また、家族が1人増えるだけで入浴回数も増え、平均的には月額で約1,000〜1,500円程度のガス代増加につながります。さらに、赤ちゃんが生まれた家庭では沐浴や哺乳瓶の消毒などで頻繁にお湯を使うため、予想以上にガス代が上がることがあります。
追い焚き回数が増えた
家族の帰宅時間や生活リズムがバラバラになり、入浴時間が分散すると追い焚き回数が増えてガス代が大幅に上がります。
以前は家族が続けて入浴していたのに、子どもの塾や習い事、親の帰宅時間の変化などで入浴間隔が2〜3時間あくと、その間にお湯が冷めて追い焚きが必要になります。
冬場は放置時間が長いほどお湯の温度が急激に下がるため、追い焚きに必要なガス量も増加します。浴槽にフタをしていても、2〜3時間で4〜5℃下がることも珍しくなく、温め直すたびにガスを消費してしまいます。
シャワー時間が長くなっている
シャワーの使用時間が長くなると、水道代とガス代の両方が増加します。40℃のシャワーを1分間出しっぱなしにすると約12Lの水と、都市ガスの場合で約3.7〜5円のガス代を消費します(水温15〜20℃の場合)。
家族全員がシャワーを毎日5分間出しっぱなしにする時間を増やすと、4人家族で月に約2,200〜3,000円のガス代増加につながります。特に冬場は水温が低いため、同じ設定温度でもガス代はさらに高くなります。
ガス機器の問題でガス代が倍になる原因

ガス機器の状態もガス代に大きく影響します。給湯器やガスコンロが古くなっている場合、効率が悪化してガス代が増えている可能性があります。
給湯器の経年劣化で熱効率が低下している
給湯器の寿命は一般的に10〜15年程度で、古くなると熱効率が悪化し、同じ量のお湯を沸かすのにより多くのガスが必要になります。新しい省エネタイプと比べて15〜30%多くガスを消費することもあります。
- お湯の温度が安定しない
- 異音がする
- 点火に時間がかかる
- お湯になるまで時間がかかる
このような症状がある場合、給湯器の効率が落ちてガス代が増加している可能性が高いです。10年以上使用している給湯器は、買い替えを検討する時期かもしれません。
ガスコンロの不具合で燃焼効率が悪い
ガスコンロの炎が赤かったり、黄色かったりする場合は不完全燃焼を起こしている可能性があり、燃焼効率が悪化してガス代が増える原因になります。正常な炎は青色で、赤や黄色の炎は異常のサインです。
バーナーキャップに汚れが詰まっていたり、バーナーの目詰まりがあったりすると、空気とガスの混合比率が崩れて燃焼効率が低下します。また、五徳やバーナーキャップがずれていても同様の問題が起こります。定期的に掃除をして、炎の色が正常な青色になっているか確認しましょう。改善しない場合は修理や交換が必要です。
旧型給湯器と新型機器の効率差が大きい
古い給湯器から新しい多機能タイプに買い替えた場合、それまで使っていなかった機能を使い始めることでガス使用量が増えることがあります。例えば、浴室暖房乾燥機能や床暖房機能が追加されると、これらを使用することで大幅にガス代が上がります。
また、新しい給湯器は省エネ性能が高いものの、お湯の温度設定や機能設定が以前と異なる場合があり、知らず知らずのうちに高温設定で使用していることもあります。買い替え後にガス代が増えた場合は、取扱説明書を確認して適切な設定になっているか見直してみましょう。
契約・料金面でガス代が倍になる原因

使用量が変わっていないのにガス代が倍になった場合、契約や料金面に原因がある可能性があります。ここでは、料金体系に関わる原因を見ていきましょう。
ガス会社による値上げ(原料費調整制度)
ガス料金には原料費調整額という項目があり、天然ガスなどの原料価格の変動を料金に反映させる仕組みがあります。国際的な原油価格や為替レートの影響を受けて、毎月数百円から時には1,000円以上変動することもあります。
使用量が同じでも、この調整額が大幅に上がるとガス代が倍近くになることがあります。特に世界情勢の変化や円安が進んだ時期には、原料費調整額が急激に上昇する傾向があります。検針票や請求書の原料費調整額の項目を確認し、前月や前年同月と比較してみましょう。
都市ガスからプロパンガスへの変更(引越しなど)
引越しなどで都市ガスからプロパンガスに変わった場合、同じ使用量でもガス代が1.5〜2倍程度高くなることが一般的です。プロパンガスは自由料金制のため、都市ガスより単価が高く設定されていることが多いためです。
プロパンガスは熱量が高いため使用量自体は少なくなりますが、単価が高いため結果的にガス代は高額になります。引越し前が都市ガスで月3,000円だった場合、プロパンガスに変わると同じような使い方をしても月5,000〜6,000円になることも珍しくありません。
契約しているガス会社の単価がもともと高い
プロパンガスの場合、会社によって基本料金や従量単価に大きな差があり、同じ地域でも月額数千円の違いが出ることがあります。同じ使用量でも、A社では月5,000円、B社では月3,500円ということも珍しくありません。
長年同じガス会社を使っていると、知らないうちに割高な料金になっていることがあります。プロパンガスの料金比較サイトなどで、ご自身が契約している会社の単価が適正かどうか確認してみましょう。
ガス代が倍になった時の緊急チェックポイント

ガス代が急に倍になった場合、稀ではありますが、安全上の問題や請求ミスの可能性もあります。ここでは、緊急時に確認すべき重要なポイントをご紹介します。
ガス漏れや機器の故障がないか安全確認
ガス代が急激に増えた場合、まずガス漏れや機器の故障がないか確認することが重要です。ガスメーターを確認して、誰もガスを使っていないのにメーターが回り続けている場合は、どこかでガスが漏れている可能性があります。
- ガス臭いと感じる
- 給湯器から異音がする
- 炎の色が異常
このような状況が見られた場合は、すぐにガスの使用を中止し、ガス会社へ連絡してください。ガス漏れは火災や爆発の危険があるため、絶対に放置せず点検してもらいましょう。夜中でもガス会社の緊急連絡先に電話すれば対応してもらえます。
検針ミスや請求ミスの可能性を確認
稀なケースですが、検針員による読み取りミスや、ガス会社のシステムトラブルで請求額が誤っている可能性もあります。検針票の使用量が前月と比べて異常に多い場合は、ミスの可能性を疑いましょう。
例えば、前月10㎥だったのに今月が100㎥になっているような場合は、桁を間違えて読み取られた可能性があります。また、引越し直後などは前の住人の使用量と混同されていることもあります。
明らかにおかしいと感じた場合は、遠慮なくガス会社に問い合わせて確認してもらいましょう。
ガス会社に問い合わせる
原因がわからない場合は、ガス会社に直接問い合わせて、使用量が急増した理由を確認してもらいましょう。ガス会社では過去の使用履歴を詳しく確認でき、同じ季節の前年と比較して異常がないかチェックしてくれます。
また、必要に応じて点検に来てもらうことも可能です。ガスメーターの不具合や給湯器の異常など、専門家でないと判断できない問題もあります。ガス代に関する疑問や不安は、遠慮せずガス会社に相談することが大切です。カスタマーサポートでは丁寧に対応してもらえるので、気軽に問い合わせてみましょう。
倍になったガス代を元に戻す・節約する方法

ガス代が倍になった原因を特定したら、次は具体的な節約方法を実践してガス代を下げていきましょう。ここでは、効果の高い節約方法をご紹介します。
お風呂での節約術(追い焚き削減・シャワー時間短縮)
お風呂のガス代節約で最も効果が高いのは、追い焚き回数を減らすことです。1回の追い焚きで都市ガスなら約65〜75円、プロパンガスなら約120〜130円かかり、毎日2回の追い焚きを続けると年間約4,700〜9,500円の無駄遣いになります。家族で続けて入浴する習慣をつけるだけで、大きな節約効果が期待できます。
- 家族で続けて入浴する
追い焚き回数を最小限に抑えられます - 浴槽のフタをこまめに閉める
お湯の温度低下を防ぎます - 節水シャワーヘッドに交換する
最大50%の節水効果が見込め、初期投資は3,000〜10,000円程度ですが半年から1年程度で元が取れます - シャワーを使わない時は止める
5分間の出しっぱなしで約20〜25円の無駄遣いです
これらの方法を組み合わせることで、月1,500〜2,500円程度のガス代削減が期待できます。
キッチンでの節約術(温度設定・電子レンジ活用)
料理の際は、中火で調理することでガスの無駄遣いを防げます。鍋底から火がはみ出さない程度の火加減が最も効率的です。また、温め直しには電子レンジを積極的に活用しましょう。
- 中火で調理する
強火より効率的でガスの無駄がありません - 温め直しは電子レンジで
ガスコンロの約3分の1のコストです - 落し蓋や圧力鍋を使う
調理時間短縮でガス代を節約できます - 鍋やフライパンの水滴を拭く
余分な熱エネルギーを削減できます
キッチンでの節約は日々の積み重ねが重要です。これらを習慣化することで着実にガス代を減らせます。
給湯器の交換・ガス会社の見直しを検討
給湯器が10年以上経過している場合は、エコジョーズなどの高効率給湯器への買い替えを検討しましょう。初期費用は15万〜50万円程度かかりますが、ガス使用量を15〜30%削減でき、5〜10年で元が取れる計算です。
また、ガス会社の料金プランを見直したり、特にプロパンガスの場合は他社への乗り換えを検討したりすることも効果的です。同じ地域でも会社によって月額1,000〜2,000円の差が出ることもあり、年間では数万円の節約につながります。料金比較サイトで複数社の見積もりを取って比較してみましょう。
電気とガスをセットで契約すると割引になるプランを提供している会社も多く、セット割を活用すれば大幅な節約につながることもあります。
まとめ

ガス代が倍になる原因は、冬の季節変動(水温低下・暖房使用)、生活スタイルの変化(在宅時間増加・追い焚き増加)、機器の劣化、料金改定など様々ですが、検針票の確認や生活パターンの振り返りによって必ず原因を特定できます。
- 冬のガス代が夏の1.5〜2倍になるのは一般的な季節変動
- 検針票で使用量と単価のどちらが上がったか確認することが原因特定の第一歩
- 追い焚き削減で年間約6,000円、節水シャワーヘッドで年間約6,000円の節約可能
- 給湯器の劣化や不具合もガス代増加の大きな要因
- ガス会社の見直しで年間数万円の削減が見込める場合も
原因を特定したら、お風呂やキッチンでの節約習慣、給湯器の交換、ガス会社の見直しなど、状況に応じた対策を実践することで、倍になったガス代を元に戻すことができます。
まずは検針票を確認して、ご自身の家庭のガス代増加の原因を探ることから始めてみましょう。