2016年の電力自由化以降、数多くの新電力会社が誕生しました。
その中で、「価格の安さ」ではなく「再生可能エネルギーの普及」という明確なビジョンを掲げ、独自の道を歩む企業があります。それが、エバーグリーン・リテイリング株式会社です。
「再エネをもっと身近に」をコンセプトに、2023年4月から全契約者の電力使用における二酸化炭素排出量ゼロを実現している同社。
今回は、その挑戦の裏側と、電力業界に対する熱い思いを伺いました。

西村 伸太郎 氏
Nishimura Shintarou
エバーグリーン・マーケティング株式会社
営業部 副部長。香川県出身。
2016年4月より現職。営業チーム、企画チームを経て、沖縄ガスニューパワーへ異動。沖縄では新規顧客獲得、デジタルマーケティング・テレビCMから、収支管理・計画、電源契約まで電力小売に必要な業務を幅広く従事。
沖縄エリアでの電力シェアを沖縄電力に次ぐ2位まで上げた後、2023年より東京に戻り、今に至る。

轟 氏
Todoroki
営業部 営業3課

青木 氏
Aoki
営業部 営業2課 兼 営業3課
目次
エバーグリーン・リテイリング誕生の背景
| 社名 | エバーグリーン・リテイリング株式会社 |
|---|---|
| 設立 | 2020年 |
| 事業内容 | 家庭用電力小売事業 |
| 供給エリア | 北海道から鹿児島まで(沖縄・一部離島を除く) |
| 契約数 | イーレックスグループ全体で約20万件 |
| 特徴 | 全契約者の二酸化炭素排出量ゼロ(2023年4月〜) バイオマス発電を中心とした再生可能エネルギー供給 |
エバーグリーン・リテイリングの歴史を理解するには、まず同社が属するイーレックスグループの歩みを知る必要があります。
実は同グループは、2010年から特別高圧(法人向け)の電力小売事業を展開してきました。そして2016年の電力小売全面自由化を機に、イーレックススパークマーケティング社を立ち上げ、家庭用電力市場への参入を果たします。
転機が訪れたのは2019年。東京電力エナジーパートナーが参画し、エバーグリーンマーケティング株式会社が設立されました。
2019年7月にサービスがスタートされましたが、東京電力エナジーパートナー様と共同で立ち上げられた理由を教えてください。

編集部

西村氏
イーレックスグループとして上場企業ではあるものの、当初は知名度がほとんどない状態からのスタートでした。
まず、お客様に心理的な安心感を持っていただくため、東京電力様と協力して取り組みを開始しました。
さらに、電力のエキスパートである東京電力エナジーパートナー様の知見と、当社の代理店網を活かしたコラボレーションを目的に、2019年にエバーグリーン・マーケティングを設立しました。
そして翌2020年、法人向けと家庭向けを明確に分けるため、エバーグリーンマーケティングの100%子会社としてエバーグリーン・リテイリング株式会社が誕生しました。
高圧電力(法人向け)はエバーグリーン・マーケティングが、低圧電力(一般家庭向け)はエバーグリーン・リテイリングが担うという役割分担です。
会社名の「エバーグリーン」には深い意味が込められています。
「グリーンが当たり前の社会」を実現するという事業コンセプトから名付けられたこの社名は、同社のミッションそのものを表しています。
- 2010年:イーレックスグループが法人向け電力小売開始
- 2016年:電力自由化で家庭向け市場に参入
- 2019年:東京電力エナジーパートナーと提携、エバーグリーンマーケティング設立
- 2020年:エバーグリーン・リテイリング設立(家庭用電力販売)
「再エネをもっと身近に」に込められた思い
エバーグリーン・リテイリングの最大の特徴は、「再生可能エネルギーをどう供給し、どう販売していくか」を使命とする明確な姿勢です。
その根底にあるのは、イーレックスグループが持つバイオマス発電を中心とした再生可能エネルギー電源の活用です。

西村氏
社名が結構大事だと思っていて、「再エネをもっと身近に」というのがコンセプトなんです。
グリーンが当たり前の社会というのが事業コンセプトとしてあり、お客様に対して再生可能エネルギーをどう供給、どう販売していくかが我々のミッションです。
再エネの重要性を消費者に理解していただくのは、なかなか難しいのではないでしょうか?

編集部

西村氏
この点はかなり苦労している部分です。電気は目に見えませんし、再エネで作った電気も従来の電気も、使う側からすれば違いはありません。お客様にとって差別化を感じていただくのは難しいと感じています。
「再生可能エネルギーを使っている」ということを周囲に認知していただくために、ステッカーや盾をお客様にお渡しして、「再生可能エネルギーを使っている実感」を体験していただくなどを行っておりますが、正直これといった決定打は見つかっていません。
それでも、ホームページでのコラム発信など、Web上での地道な情報提供は続けています。少しずつでも意識を変えていければと考えています。
目に見えないものだからこそ、難しいということですね。西村さんが考える再エネの重要性とは、どのようなものでしょうか?

編集部

西村氏
日本は、京都議定書から始まり、COP16、COP19と、再生可能エネルギーを導入することを国際的に約束しました。その約束を決めたのは、日本政府であり、突き詰めれば日本国民です。
そうであるなら、「電気代が高い」という議論の前に、まずはその約束を守ることが重要だと考えています。
個人的には、一度約束したことは、最後まで「やり遂げたい・やり遂げたほうがいい」と考えています。
2023年の大転換価格|競争からの脱却

エバーグリーン・リテイリング株式会社の戦略は、2022年から2023年にかけて大きな転換を迎えました。
それは、ロシア・ウクライナ戦争を契機とした電力市況の激変がきっかけでした。
サービス開始当初は、どのような戦略で展開されていたのでしょうか?

編集部

西村氏
2016年に一般家庭向け電力の販売を開始した当初は、東京電力様や関西電力様よりも安いプランを提供して、価格的なメリットがある状態で、お客様に喜んでいただくというコンセプトで販売していました。
それが2022年から変わったということですね。何がきっかけだったのでしょうか?

編集部

西村氏
ロシア・ウクライナ戦争が始まり、世界的に燃料価格が高騰したことがきっかけです。日本は2011年以降、原子力発電所を廃炉にしていき、石炭火力を中心に電力を賄ってきました。
その後、石炭価格も高騰し、結果的に電力の調達価格が高騰するに至りました。
大きな方針転換ですね。他にも変更された点はありますか?

編集部

西村氏
全てのお客様の電力使用における二酸化炭素の排出量をゼロにすることを実現しました。
- 価格体系の変更:旧電力会社より必ず安い価格設定から、市場価格連動型へ
- 2023年4月:全契約者の電力使用における二酸化炭素排出量をゼロに
- コンセプトの転換:「安さ」から「環境価値」へ
しかし、新電力といえば「安さ」が売りという印象があります。価格競争から離れるのは、かなり勇気のいる決断だったのではないでしょうか?

編集部

西村氏
新電力の存在意義って、ほとんどの会社は「安いこと」なんです。
しかし我々としては、再生可能エネルギーの重要性や、日本政府が掲げている2030年までの二酸化炭素排出量ゼロに向けて、お客様が望もうが望むまいが、すべてのお客様に環境価値を提供し、二酸化炭素排出量をゼロにするという、かなり高いハードルを抱えながら販売を行っています。
つまり、必ずしも安くはないということですか?

編集部

西村氏
市場連動型なので、月によっては高くなったり安くなったりします。でも、それが再生可能エネルギーの本来の姿なんです。
再エネは決して安いエネルギーではないんです。だからこそ国が補助金を出して普及を促進しているわけですよね。再エネを選ぶということは、環境のために多少の負担を受け入れるということでもあります。
私たちは「多少高くなることもある」という点も含めて、正直にお客様にお伝えしています。
この大胆な方針転換は、業界では異例の選択でした。
多くの新電力が価格競争に苦しむ中、エバーグリーンは「環境価値」という新たな軸を打ち出したのです。
バイオマス発電の秘密|ヤシの実の種が電気になるまで

イーレックスグループで発電している再生可能エネルギーの核となるのが、バイオマス発電です。
その燃料は、意外にも「ヤシの実」から生まれています。
バイオマス燃料について、具体的に教えてください。

編集部

西村氏
僕らが使ってるバイオマス燃料はヤシの実の殻の部分を使っています。実はこれ、もともとはゴミだったんですよ。
皆さんが普段使っている食品や化粧品に「植物性油」って表示されているのを見たことありますよね?あれの多くは、ヤシの実から搾った油なんです。
ヤシの実を搾って油を取り出すと、中に硬い種が残ります。僕らはその搾りカス、つまり油を取った後に残った種の部分を燃料として使っているんです。
この種は、以前は産業廃棄物として捨てられていたものでした。
- 原料:パーム椰子の種(搾油後の残渣)
- 従来:産業廃棄物として廃棄されていた
- 仕組み:石炭火力発電と同じく、燃焼させて蒸気を発生させタービンを回す
- 調達先:東南アジア
- 環境価値:廃棄物のリサイクルによる資源有効活用
環境活動家からの批判についても、西村さんは明確な答えを持っています。

西村氏
バイオマス燃料に関するプランテーション問題を指摘されることがあります。「ヤシ農園を作るために森林を伐採している」「児童労働が行われている農園もある」と。これらは残念ながら事実として存在します。
ただし、私たちは森林を開墾しているわけではありません。既に油を採取するために栽培されているヤシの実から、油を搾り取った後に残る種“本来なら捨てられるはずだったもの”を買い取って燃料にしているんです。
食用油や化粧品のために栽培されているヤシから出る廃棄物を、私たちがエネルギーとしてリサイクルしている。そういう構図だとご理解いただければと思います。
イーレックスグループの燃料はGGL認証という、国際的な認証を受け、生産地から輸送、最終利用に至るまで追跡し、適法性や環境保全、社会的基準が守られているものを使用しています。
ユニークな4つの料金プラン
エバーグリーン・リテイリングが提供する料金プランは、他社にはないユニークな特徴を持っています。
現在、同社が展開する主な4つのプランを見ていきましょう。
1. スマートゼロプラン(市場連動型)
市場価格に連動した料金プラン。電力市場の価格変動に応じて料金が変わるため、市況によっては大手電力会社より安くなることも。
更に、基本料金が0円で、従量料金単価が一律のため、使用量が多い家庭ほどお得感を実感できます。
2023年4月以降、全契約者の二酸化炭素排出量がゼロになっています。
- 透明性の高い価格設定
- 基本料金0円
- 従量料金単価が一律
- いつ申し込んでもAmazonギフト券プレゼント
スマートゼロプランのポイント①|基本料金0円
多くの電力会社が設定している基本料金が無料です。
これにより、電気をあまり使わない月でも無駄なコストが発生せず、使った分だけを支払うシンプルで公平な料金体系となっています。
一般的な電力プランでは基本料金だけで月額数百円から千円以上かかることも珍しくありませんが、スマートゼロプランならその負担がゼロになります。
スマートゼロプランのポイント②| 従量料金単価が一律
多くの電力プランでは、使用量に応じて単価が段階的に上がる「3段階料金制」が一般的ですが、スマートゼロプランでは使用量に関係なく単価が一律です。
電気を多く使うファミリー世帯や在宅ワークで日中も電気を使う家庭、ペットのために空調を長時間稼働させる必要がある家庭などにとって、特に大きなメリットがあります。
使えば使うほど単価が上がる心配がないため、電気使用量の多いご家庭ほど従来プランとの差額が大きくなり、お得感を実感しやすい料金設計となっています。
| スマートゼロプラン料金単価 | ||
|---|---|---|
| エリア | 基本料金 | 電力量料金単価 (使用量に関係なく一律) |
| 北海道 | 0円 | 30.89円/kWh |
| 東北 | 0円 | 28.07円/kWh |
| 関東 | 0円 | 27.25円/kWh |
| 中部 | 0円 | 27.60円/kWh |
| 北陸 | 0円 | 22.52円/kWh |
| 近畿 | 0円 | 24.59円/kWh |
| 中国 | 0円 | 24.92円/kWh |
| 四国 | 0円 | 25.63円/kWh |
| 九州 | 0円 | 24.53円/kWh |
※基本料金、電力量料金以外に、電源調達調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金が発生します。
スマートゼロプランのポイント③|申し込み時のお得な特典
公式サイトからスマートゼロプランを申し込んだ方を対象に、Amazonギフト5,000円をプレゼントしています。
期間限定のキャンペーンではなく、いつ申し込んでも特典を受け取ることができるため、「キャンペーン期間を逃してしまった」という心配がありません。
入会特典でお得にスタートできる点も、スマートゼロプランの魅力の一つです。
- 電気使用量が多いファミリー世帯:一律単価のメリットを最大限に活かせます
- 在宅ワークやリモートワークの方:日中の電気使用量が多くてもお得な料金で利用可能
- 環境意識の高い方:CO₂排出量ゼロで地球環境に貢献できます
- 料金の透明性を重視する方:市場価格連動で明確な料金体系
- 基本料金の負担を減らしたい方:基本料金0円で固定費を削減
- ペットを飼っているご家庭:長時間の空調使用でも一律単価で安心
基本料金0円
\Amazonギフト5,000円プレゼント!/
2. ライフスタイルプラン(定額型)
携帯電話のサブスクリプションに似た、革新的なプラン。
一定の使用量までは固定料金で、それを超えると市場連動になります。
お客様のライフスタイルプランに合わせて、150kWh~600kWhの5つのプランから選べます。

西村氏
電力を差別化していこうというところからスタートしました。
光回線みたいに毎月定額で使い放題、携帯のギガ制限みたいな感じにしたかったんです。イメージとしては携帯のサブスク料金や定額プランに近いですね。
一定の使用量までは同じ料金で、それを超えた場合には市場連動になります。
- 定額範囲内:設定した使用量(150kWh~600kWh)までは毎月固定料金
- 定額範囲超過時:超過分は市場連動型の料金が適用される
- 料金予測がしやすい
- 使用量が安定している世帯に最適
この二段階方式により、通常月は安心の固定料金で電気を使用でき、使用量が超過した場合でも、市場連動の料金で対応可能です。

- ライフスタイルS(LS150kWh定額)
150kWhまで定額4,280円 - ライフスタイルS +(LS220kWh定額)
220kWhまで定額6,280円 - ライフスタイルM(LS300kWh定額)
300kWhまで定額8,280円 - ライフスタイルL(LS450kWh定額)
450kWhまで定額12,800円 - ライフスタイルL +(LS600kWh定額)
600kWhまで定額16,800円
※一か月の使用電力量が最低料金適用電力量を超過した場合、その超過した使用電力量に対する電源調達調整額並びに法令に基づく再生可能エネルギー発電促進賦課金の合計額となります
※再生可能エネルギー発電賦課金は固定料金とは別に請求されます
※契約期間内の途中解約、プラン変更も可能
※kVA,kWの契約は申込みできません
- 電気使用量が月々ほぼ一定の方:定額制のメリットを最大限に享受できる
- 家計管理を重視する方:固定費として予算管理がしやすい
- サブスクサービスに慣れている方:携帯プランと同じ感覚で選べる
- シンプルな料金体系を好む方:分かりやすい料金設定で安心
- 計画的な生活を送っている方:定額範囲内での使用を意識することで節電効果も
- 単身世帯~標準的なファミリー世帯:幅広いニーズに対応する5つのプラン
- 電気料金の変動に不安を感じる方:定額部分で安心感を得られる
使用量に合わせて選べる!
\月額固定の安心プラン/
3. あるくおトクでんき(歩数連動型)
2017年からサービスを提供している、業界でも珍しい「歩いたら安くなる」プラン。
当時、朝の情報番組などで大きく取り上げられ話題となりました。

西村氏
2017年にこのプランをリリースした時には、家庭用の自由化がスタートしたばかりで、各社プランの多様化ってなかったんですよ。その中で先行して、歩いたら安くなるっていうコンセプトで作ったら結構バズったんです。
昔は歩数計を別で渡していたんですが、今はアプリの中で完結できるので、歩数計も要りません。
- 健康志向とエコ志向の両立
- アプリで簡単管理
\歩数に応じて電気料金がおトクに!/
4. 保険でんき(少額保険付帯型)
電気料金に少額保険が付帯したプラン。子供の自転車事故や日常生活の賠償責任をカバーします。

西村氏
これは2019年、20年頃の社会課題から生まれたプランです。
当時、子供の自転車事故が社会問題になっていました。子供が自転車で走っていて、通行人の方にぶつかってしまい怪我をさせてしまう、といった事故が多発していたんです。
「電気とセットにした保険で解決できるのでは」と考えて開発したのが、この保険でんきです。少額の保険が付帯していて、お子さん同士のトラブルで怪我をさせてしまった場合や、野球をしていてボールが当たって怪我をさせてしまった場合など、日常生活での賠償責任をカバーできます。
特に小さなお子さんがいる子育て世帯にニーズがあるのではないかと考えています。
- 子育て世帯に最適
- 日常の「もしも」に備えられる
\でんきをお守りに!でんきと保険がセット/
- 24時間365日駆けつけサービス:無料で電気トラブルに対応
- 二酸化炭素排出量ゼロ:全契約者が自動的に再エネ利用
- LINEで電気料金お知らせサービス:LINEで簡単に毎月の電気料金を確認
顧客とのコミュニケーション強化への取り組み
再生可能エネルギーの重要性を広めるためには、顧客との継続的なコミュニケーションが欠かせません。
エバーグリーン・リテイリングは、さまざまな手段で顧客接点を増やしています。
現在の取り組み

西村氏
お客様とのコミュニケーションツールを拡充していきながら、メールマガジンを始めたりして、お客様に対してメッセージを発信するというのを心がけていこうと思っています。
- サンクスメール:契約時に手厚いお礼メールを送信
- メールマガジン:再エネの重要性や電気の節約方法などの豆知識を配信
- LINE連携:使用量・料金確定時の自動通知
- 公式サイトコラム:環境・再エネに関する情報を継続的に発信
- YouTube広告:2022年から継続的に展開(森の中で鹿と女の子が踊るCMが好評)
- キャラクター展開:2025年9月に「アイエバくん」と「ワイグリくん」をリリース
キャラクター誕生秘話
公式サイトを訪れると、森の中を駆け回る可愛らしい鹿のキャラクター「アイエバくん」と「ワイグリくん」が目に入ります。
2025年9月にリリースされたこのキャラクターたちは、単なるマスコットではなく、エバーグリーンの「再エネをもっと身近に」というコンセプトを体現する存在です。
公式サイトの鹿のキャラクター、とても可愛らしいですね。どのような経緯で生まれたのでしょうか?

編集部

西村氏
実は2022年からYouTube広告を展開していて、森の中で鹿と女の子が一緒に踊りながら「グリーン、グリーン」と歌うCMを作ったんです。これが結構好評で再生回数も伸びたので、その鹿をキャラクター化したのが、今回の「アイエバくん」と「ワイグリくん」なんです。
CMに出演してくれている女の子は、最初の撮影時は小学生だったんですが、今では高校生になりました。
第3弾まで制作していて、彼女の成長も一緒に楽しんでもらえるようなコンテンツになっています。
YouTube広告からキャラクターが生まれたんですね。

編集部
親しみやすいキャラクターを通じて、特に子供たちにも環境や再生可能エネルギーについて興味を持ってもらいたいという思いが、アイエバくんとワイグリくんには込められています。
東南アジアとの連携|ベトナムでの発電所開発
エバーグリーンの親会社であるイーレックスの取り組みは、国内にとどまりません。
ベトナムでのバイオマス発電所開発は、日本の再エネ普及における重要な鍵となる可能性を秘めています。
ベトナムに発電所を作られているとのことですが、そのきっかけは?

編集部

西村氏
もともと東南アジアにおけるバイオマス燃料の開発や集めてくる作業を、マレーシアやシンガポール、ベトナムを含めていろいろやってました。そういった活動の延長線上で、ベトナム政府との繋がりもできたんです。
ベトナムは、再生可能エネルギーの導入がまだこれからという段階です。彼らは今、日本でいえば昭和40年代、50年代のような高度経済成長期の真っただ中にあります。ベトナム政府内でも「経済成長を優先すべき今、再エネに投資すべきなのか」という議論があったようです。
そこで私たちが「経済成長と環境対策は両立できる。むしろ今こそ再エネに取り組むべきです」と提案させていただきました。ベトナム政府にも賛同していただき、現在は両国協力のもと、発電所の開発プロジェクトを進めています。
ベトナムでの発電所開発の目的について、もう少し詳しく教えていただけますか?

編集部

西村氏
最終的には、日本とベトナムの二国間協定を締結しようとしています。
ベトナム政府と日本政府の間で、環境価値を取引できるようにしようという取り組みです。
私たちが東南アジアで作った環境価値を日本に持ってきて、日本の企業にその環境価値を提供するという仕組みです。
- 背景:日本国内だけでは再エネポテンシャルが不足
- 解決策:ベトナムで発電した再エネの環境価値を日本に持ち込む
- 仕組み:日本・ベトナム両政府間での二国間協定を締結予定
- 受益者:日本の法人企業(再エネ導入義務化に対応)
なぜそのような仕組みが必要なのでしょうか?

編集部

西村氏
なぜ重要かというと、日本国内の再生可能エネルギーだけでは、法人企業が必要とする環境価値の量を賄いきれないんです。国土が限られているため、新たな大規模発電所を建設できる場所も少なく、再エネのポテンシャルが絶対的に不足しています。
一方で、日本の法人企業には今後、再エネ導入の義務化が進んでいきます。そこで、ベトナムで発電した再エネの環境価値を日本に持ち込み、日本の法人企業に提供する。そうすることで、双方にメリットのある関係を築いていきたいと考えています。
若年層へのアプローチと契約者層の変化
エバーグリーン・リテイリングの契約者構成は、ここ数年で大きく変化しています。
従来は戸建て住宅の中高年層が中心でしたが、2023年以降は集合住宅に住む20代を中心とした若年層が増加。この変化の背景には、明確な戦略転換がありました。
契約者の構成について、変化はありますか?

編集部

西村氏
お客様の属性が少しずつ変わってきています。
2023年度以降は、集合住宅のお客様が増えてきて、年齢層も下がってきています。
従来は戸建て住宅の中高年層が中心だったんですが、今は20代を中心とした若年層が増えています。
- 総契約数:約20万件(2025年9月末時点)
- 従来:戸建て住宅・中高年層が中心
- 2023年以降:集合住宅・20代を中心とした若年層が増加

西村氏
私が目指しているのは、大学生や社会人になりたての20代の方々に、まず最初の電気契約として選んでいただくことです。
一人暮らしを始めるタイミングでエバーグリーンと出会い、その後、結婚されたり、お子さんが生まれてご家族が増えたりしても、ずっとエバーグリーンを使い続けていただける。
そんな長期的な信頼関係を築けるブランドにしていきたいと考えています。
しかし、若年層への再エネの訴求は容易ではありません。
若い方にとって再エネは魅力なんでしょうか?

編集部

西村氏
そうなってほしいとは思っていますが、正直なところ、現状では多くの方があまり重要視されていないのが実情です。
だからこそ私たちは、なぜ再エネが必要なのか、再エネを導入しなかった場合にどうなるのか、といったことをもっと分かりやすくお伝えしていく必要があると考えています。
ホームページのコラムだけでなく、様々なコミュニケーション手段を使って、お客様との接点を増やし、情報発信を強化していきたいと思っています。
来年登場予定の新アプリが変える電気の使い方

エバーグリーン・リテイリングの次なる一手は、2026年にリリース予定の顧客向けアプリです。
これは単なる使用量確認ツールではなく、電気の使い方そのものを変える可能性を秘めています。
来年リリース予定のアプリについて、詳しく教えていただけますか?

編集部

西村氏
来年のアプリリリースは我々の大きな転換期だと思ってます。
実は以前もアプリはあったんですが、正直あまり使いやすくなくて。今回は完全にお客様目線に立った、使いやすいアプリに刷新しようと考えています。
- スマート家電連携:遠隔でエアコンの温度調整などが可能
- 情報発信:再エネに関する情報やコラムの配信
- 使用量・料金管理:直近の実績を確認
- ポイント機能:電気料金やミニゲームでポイント還元

西村氏
日本には太陽光発電が数多く導入されています。昼間は太陽光で発電量が増えるので電力の市場価格は安くなり、夜間は高くなるんです。
その価格差を活用するということですか?

編集部

西村氏
その通りです。昼間の安い時間帯にたくさん電気を使っていただければ、お客様にとっても私たちにとってもメリットがあります。
来年リリースするアプリでは、「今、どの時間帯に電気を使うとお得なのか」がリアルタイムでわかる機能の搭載も検討しています。
さらに、スマート家電との連携も予定しています。エアコンの温度を遠隔で調整したり、お得な時間帯に自動で家電を動かしたりできるようになります。
お客様の使い方と再エネの発電を連動させるということですね。

編集部

はい。それが私たちの目指す新しい電気の使い方です。
電気を超えた総合ライフラインへの展望

エバーグリーン・リテイリングが描く未来は、電気事業の枠を超えた壮大なビジョンです。
エバーグリーン・リテイリングの今後の展望について教えてください。

編集部

西村氏
電気事業だけでは限界を感じています。
電力市場が激変する中、電気単体ではお客様に十分な価値を提供できなくなってきました。現状では価格競争力を維持するのも困難です。
そこで、スマート家電連携や電気以外の付帯商材を組み合わせて、お客様の満足度を総合的に高めていく。同時に事業の収益性も確保する。そうした新規商材の開発が、今の私たちのミッションだと考えています。
- 携帯電話:MVNO事業への参入
- 光回線:インターネット接続サービス
- ウォーターサーバー:生活必需品の提供
- その他ライフライン:生活に必要な各種サービス
電力会社という枠を超えて、生活全般をサポートする企業を目指すということですね。

編集部

西村氏
選択肢は一見多そうですが、現実的に取り組めることは限られていると思います。ただ、携帯のMVNOや光回線、都市ガスの拡充など、生活に必要なライフラインをできるだけ私たちで提供できる体制を作ることができれば、お客様にとっても分かりやすいメリットになります。
「エバーグリーンと契約すれば、電気以外のサービスもお得になる」そう実感していただけるようにしていきたいですね。
西村さんが思い描く理想の形は、顧客同士をつなぐプラットフォームの創出です。

西村氏
これは将来的な構想ですが、販売パートナー、取引先、お客様、すべての方が参加できるマッチングプラットフォームを作りたいと考えています。
例えば、野菜を作っているお客様と買いたいお客様を、私たちのアプリ内で直接つなぐ。
商材は何でも構いません。パートナーさんやお客様同士をつなぐハブとして、私たちが機能できればと思っています。
電力会社という枠を超え、顧客の生活全体をサポートするプラットフォームへ
これがエバーグリーン・リテイリング株式会社が目指す未来の姿です。
「電気」から始まる、意識改革への挑戦

インタビューを通して最も印象的だったのは、西村さんの「正直さ」でした。
「再生可能エネルギーが本当に必要かどうかは、正直100年先とか200年先の地球の人しか分からない」
こうした率直な言葉は、一見するとネガティブに聞こえるかもしれません。
しかし、その言葉の背後にあるのは、「一度コミットしたことは貫く」という強い信念と、「自分で考えて選択してほしい」という顧客への敬意でした。

西村氏
まず、ご自身が使っている電気が何から作られているのか、一度考えていただきたいんです。
太陽光が良いという方もいるでしょう。原子力を支持する方、石炭火力を選ぶ方もいる。私たちはバイオマスが良いと考えています。
どれを選んでも構いません。大切なのは、皆さんがちゃんと理解して、納得した上で使っていただくこと。それが何より重要だと思っています。
食品や化粧品には「オーガニック」や「フェアトレード」といった選択肢があるように、電気にも選択肢があっていい。そんな「当たり前」を作ろうとしているのが、エバーグリーン・リテイリング株式会社です。
「再エネをもっと身近に」というコンセプトは、単に再生可能エネルギーを販売することではなく、私たち一人ひとりが「自分が使うエネルギー」について考えるきっかけを作ること。
それこそが、この会社の真の使命なのかもしれません。
価格競争が激化する電力業界において、「高くても選ばれる理由」を追求し続けるエバーグリーン・リテイリング株式会社。
その挑戦は、まだ始まったばかりです。









