エアコンの「つけっぱなし」が電気代の節約になるという話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、実際には外出時間や使い方によって答えが大きく変わります。
「本当に安くなるのか」「どのくらいの時間までならつけっぱなしでいいのか」といった不安を抱えている方も少なくありません。
エアコンのつけっぱなしは短時間外出なら節約効果がありますが、長時間外出では逆に高くつきます。生活パターンに合わせた正しい判断基準を知ることが、電気代節約の重要なポイントとなります。
この記事では、エアコンつけっぱなしの電気代について、具体的な金額、外出時間別の判断基準、今日から実践できる節約術まで詳しく解説します。
目次
エアコンつけっぱなしで電気代は安くなる?

エアコンのつけっぱなしと電気代の関係を理解するには、まずエアコンがどのように電力を消費するのかを知ることが重要です。ここでは、エアコンの電力消費の仕組みと、つけっぱなしが有効なケースについて解説します。
※電力料金単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める31円/kWhで計算しています。
エアコンが最も電力を消費するのは起動直後
エアコンは、運転を開始した直後の室内温度と設定温度の差が大きいときに、最も多くの電力を消費します。
設定温度に到達するまでの間、エアコンはフルパワーで稼働します。外気温と設定温度の差が大きいほど、消費電力も増加します。逆に、設定温度に達した後は、その温度を維持するための穏やかな運転に切り替わるため、消費電力は大幅に減少します。
「つけっぱなし」が有効なケース
つけっぱなしが電気代の節約につながるのは、短時間の外出の場合です。ダイキン工業の実験によると、日中であれば30分程度、夜間であれば20分程度の外出であれば、エアコンを切るよりもつけっぱなしにした方が消費電力は少なくなるという結果が出ています。
参考:ダイキン工業「エアコン空気のお悩み調査隊」夏のエアコンつけっぱなし検証
これは、短時間でエアコンをオフにすると室温が上昇し、再度オンにしたときに設定温度まで下げる(または上げる)ために大きな電力が必要になるためです。
つけっぱなしにしておけば、室温は安定したままなので、少ない電力で温度を維持できます。
長時間外出時は消した方が節約になる
一方で、1時間以上の長時間外出する場合は、エアコンを消した方が電気代は安くなります。これは、つけっぱなしにしていると、誰もいない部屋で無駄に電力を消費し続けることになるためです。
外出時間が長くなるほど、こまめにオンオフする方が節電効果は高まります。自分の生活パターンに合わせて、つけっぱなしとこまめなオンオフを使い分けることが、電気代節約のポイントです。
【実験データ】エアコンつけっぱなしの電気代は実際いくら?

エアコンをつけっぱなしにした場合、実際にどれくらいの電気代がかかるのでしょうか。ここでは、大手メーカーの実験データをもとに、つけっぱなしとこまめにオンオフした場合の電気代を比較します。
日中4時間外出する場合の比較
ダイキン工業が行った実験では、9時から23時までの間に4回、計4時間外出するケースで、「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」の消費電力を比較しました。
| 項目 | つけっぱなし | こまめに入り切り | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1日の消費電力量 | 5.7kWh | 4.4kWh | 1.3kWh |
| 1日の電気代 | – | – | 約35円高 |
| 1ヶ月(30日)の差額 | 約1,050円 | ||
| 夏季(4ヶ月)の差額 | 約4,200円 | ||
※ 上記の数値はダイキン工業の実験結果に基づくものです。実際の消費電力量は、部屋の広さや断熱性、エアコンの性能、気候条件などによって異なります。あくまで目安としてご参考ください。
結論:4時間以上外出する場合は、こまめに入り切りした方が経済的です。
24時間つけっぱなしにした場合の電気代
24時間エアコンをつけっぱなしにした場合の電気代も見てみましょう。エネチェンジが行った実験では、6畳用エアコンで冷房を24時間つけっぱなしにした結果、1日の電気代は約127円でした。
これを1ヶ月(30日)で計算すると、約3,810円となります。ただし、これは常にフル稼働ではなく、設定温度に達した後の安定運転時を含めた平均値です。
| 使用パターン | 1日の電気代 | 1ヶ月の電気代 |
|---|---|---|
| 24時間つけっぱなし(冷房) | 約127円 | 約3,810円 |
| 9時間つけっぱなし(冷房) | 約63円 | 約1,890円 |
| 9時間こまめにオンオフ(冷房) | 約64円 | 約1,920円 |
出典:エネチェンジ「エアコンの電気代は24時間つけっぱなしだとどうなるか実験」
※ 上記の数値は特定の条件下での実験結果です。実際の電気代は、エアコンの性能、部屋の広さや断熱性、外気温、設定温度などによって大きく異なります。
冷房と暖房での電気代の違い
冷房と暖房では、暖房の方が電気代が高くなる傾向があります。これは、外気温と設定温度の差が暖房時の方が大きくなるためです。
例えば、夏は外気温35℃、設定温度28℃でその差は7℃ですが、冬は外気温7℃、設定温度20℃でその差は13℃にもなります。温度差が大きいほどエアコンは多くの電力を消費するため、暖房の方が電気代は高くなります。
外出時間別エアコンの正しい使い方

エアコンをつけっぱなしにするか、こまめに消すかの判断は、外出時間の長さが重要な基準になります。ここでは、外出時間別に最適な使い方を解説します。
| 外出時間 | 冷房時の推奨 | 暖房時の推奨 |
|---|---|---|
| 30分以内 | つけっぱなし | つけっぱなし |
| 30分〜1時間 | 日中はつけっぱなし、夜間は消す | 外気温3℃以下ならつけっぱなし、それ以外は消す |
| 1〜2時間 | 消す | 消す |
| 2時間以上 | 必ず消す | 必ず消す |
30分以内の外出:つけっぱなしがお得
ちょっとした買い物やゴミ出しなど、30分以内の短時間外出であれば、エアコンはつけっぱなしにしておく方が電気代の節約になります。
ダイキン工業の実験では、日中9時〜18時の時間帯で30分間隔でオンオフを繰り返した場合と、つけっぱなしにした場合を比較したところ、つけっぱなしの方が消費電力は少なくなるという結果が出ています。
これは、30分程度では室温がそれほど上昇せず、エアコンを再起動したときの消費電力の方が大きくなるためです。コンビニへの買い物や近所への外出程度であれば、エアコンはそのままにしておきましょう。
1時間程度の外出:状況によって判断
1時間程度の外出の場合は、時間帯や外気温によって判断が変わります。
冷房の場合、日中の外気温が高い時間帯(最高気温30℃以上)であれば、つけっぱなしの方が節電になる可能性があります。一方、夜間や外気温が比較的低い時間帯であれば、消した方が安くなります。
暖房の場合は、外気温が3℃以下の極寒の日であれば1〜2時間程度の外出でもつけっぱなしの方がお得になりますが、一般的な冬の気温(5℃〜7℃程度)であれば、消した方が電気代は安くなります。
2時間以上の外出:必ず消すべき
2時間以上の長時間外出する場合は、必ずエアコンを消しましょう。この場合、どのような条件でも消した方が電気代は安くなります。
実験データでも、2時間の外出をした夜間(18時〜23時)の消費電力は、「つけっぱなし」が3.4kWh(約92円)、「こまめに入り切り」が2.4kWh(約65円)となり、約27円の差が出ています。
在宅ワーク・テレワークの場合はつけっぱなしでOK?

在宅ワークやテレワークで一日中家にいる場合、エアコンをどう使うべきか悩む方も多いでしょう。長時間在宅する場合のエアコンの使い方と、快適に過ごしながら電気代を抑えるコツを解説します。
在宅時は基本的につけっぱなしがおすすめ
一日中家にいる場合は、エアコンはこまめに消すよりも、つけっぱなしにした方が効率的です。快適な温度を保ち続けることで、エアコンは安定した運転を続けられるためです。
こまめにオンオフすると、そのたびに室温が変化し、再度設定温度に戻すために大きな電力を消費します。
昼休みや短時間の外出時も消さない
昼休みに外食に出かける場合や、30分〜1時間程度の外出であれば、エアコンは消さずにそのままにしておきましょう。
前述の通り、短時間の外出であればつけっぱなしの方が電気代は安くなります。また、帰宅後すぐに快適な温度の部屋で過ごせるというメリットもあります。
設定温度と自動運転の活用
在宅時につけっぱなしにする場合、電気代を抑えるポイントは設定温度と運転モードです。
- 冷房時は28℃を目安に設定
- 暖房時は20℃を目安に設定
- 風量は「自動運転」に設定
- 扇風機やサーキュレーターを併用
自動運転モードにすると、エアコンが室温に応じて最適な風量を自動調整してくれるため、無駄な電力消費を抑えられます。弱運転にするよりも、自動運転の方が効率的で電気代も安くなります。
エアコンの電気代を節約するポイント
エアコンの使い方を見直すだけでなく、日常的に実践できる節約テクニックを取り入れることで、さらに電気代を抑えることができます。ここでは、今日から実践できる節約方法を紹介します。
設定温度を適切に保つ
エアコンの設定温度を1℃変更するだけで、約10%の消費電力を削減できると言われています。
環境省が推奨する設定温度は、冷房時28℃、暖房時20℃です。「ちょっと暑い」「ちょっと寒い」と感じても、まずは扇風機やサーキュレーター、衣服での調整を試してみましょう。
設定温度を極端に低く(または高く)しても、部屋が早く冷える(暖まる)わけではありません。
フィルターを2週間に1回掃除する
エアコンのフィルターが汚れていると、空気の吸い込みが悪くなり、冷暖房の効率が低下します。その結果、年間で約1万円以上の電気代の差が出ることもあります。
フィルター掃除は2週間に1回を目安に行いましょう。掃除機でホコリを吸い取り、水洗いして乾燥させるだけで効果があります。
風向きを工夫する
冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまる性質があります。そのため、風向きを適切に設定することで、効率的に部屋全体を快適な温度にできます。
- 冷房時:風向きを水平または上向きに設定
- 暖房時:風向きを下向きに設定
この設定により、部屋全体の空気が循環しやすくなり、体感温度が上がる(または下がる)ため、設定温度を控えめにしても快適に過ごせます。
扇風機・サーキュレーターを併用する
扇風機やサーキュレーターをエアコンと併用することで、ひと夏で1部屋3,000円もの節約効果が期待できます。
冷房時は、エアコンの風向きを水平にして、扇風機は首振りで上向きに回します。暖房時は、サーキュレーターを天井に向けて回すことで、上部にたまった暖気を循環させることができます。
室外機の周りを整理する
室外機の周りに物を置いていると、熱交換の効率が落ち、余分な電力を消費します。室外機の吹き出し口付近やその周囲には物を置かず、少なくとも60cm以上の空間を確保しましょう。
また、夏場は直射日光が当たらないように日よけを設置するのも効果的です。ただし、吹き出し口をふさがないように注意してください。
窓の断熱対策をする
窓は、室内の熱が最も出入りしやすい場所です。遮光カーテンや断熱シートを活用することで、エアコンの冷暖房効果を高めることができます。
- 冷房時:遮光カーテンで日差しを遮る
- 暖房時:厚手のカーテンや断熱シートで冷気の侵入を防ぐ
窓の断熱対策をするだけで、設定温度を変えなくても快適に過ごせるようになり、電気代の節約につながります。
古いエアコンは買い替えを検討
10年以上前のエアコンを使っている場合、最新の省エネモデルに買い替えることで、年間数千円から数万円の節約になる可能性があります。
最新機種の消費電力量は、13年前の機種と比較して約15%も削減できるとされています。初期費用はかかりますが、長期的に見ると買い替えた方がお得になるケースも多いです。
電力会社を見直して電気代をさらに削減
エアコンの電気代を節約したいなら、エアコンの使い方を工夫するだけでなく、電力会社の見直しもおすすめです。
電力自由化以降、家庭でも電力会社を自由に選べる時代になりました。大手電力会社に加え、「新電力」と呼ばれる事業者が多数参入しており、料金プランや特典内容も多種多様です。
- 夜間や休日に安くなるプラン
- ポイント還元や提携サービス割引
- ライフスタイルに合わせた柔軟なプラン
Looopでんきは解約金0円で電気料金は30分ごとに変化するため、電気料金が安い時間帯に家電を使うなど、ご家庭の中で電気を使う時間帯をずらすことで、節電を頑張らずに電気代を抑えることができます。
| 電気料金単価 | 基本料金 | 料金タイプ |
|---|---|---|
|
約18円 ※30分ごとに変動 |
0円 | 市場連動型 ※JEPXスポット市場価格に連動 |
| ガスとのセット割 | 契約期間の縛り | 解約金・違約金 |
|
Looopガス ※東京都のみ |
なし | なし |
※2025年11月時点の情報
Looopでんきの詳細を見るエアコンつけっぱなしの電気代に関するよくある質問

エアコンのつけっぱなしと電気代に関して、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。ここでは、特によく寄せられる質問に回答します。
Q
睡眠中もエアコンはつけっぱなしにすべき?
A
睡眠中もエアコンをつけっぱなしにすることをおすすめします。快適な睡眠環境を保つためには、室温20℃、湿度50%前後が理想的とされています。
電気代が気になる場合は、タイマーを活用するか、睡眠モード(エコモード)を使用しましょう。睡眠の質を優先することで、健康面でのメリットも大きくなります。
Q
除湿(ドライ)と冷房、どちらが電気代が安い?
A
除湿には「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があり、電気代が異なります。
- 弱冷房除湿:冷房よりも電気代が安い
- 再熱除湿:冷房よりも電気代が高い
一般的な除湿モードは弱冷房除湿のため、冷房よりも電気代は安くなります。ただし、再熱除湿機能を搭載している機種の場合は、冷房よりも高くなるので注意が必要です。
Q
エアコンの寿命は縮まない?
A
エアコンをつけっぱなしにすることで、部品の劣化が早まる可能性はあります。しかし、現在のエアコンは長時間運転を想定して設計されているため、適切にメンテナンスをしていれば大きな問題はありません。
定期的なフィルター掃除と、数年に1回の専門業者によるクリーニングを行うことで、エアコンを長く良好な状態で使用できます。
Q
電力会社の変更でさらに節約できる?
A
電力会社や料金プランを見直すことで、エアコンの電気代をさらに削減できる可能性があります。2016年の電力自由化により、自分のライフスタイルに合ったプランを選べるようになりました。
特に、エアコンを多く使う夏や冬の電気代が高い家庭は、料金プランの見直しを検討してみる価値があります。各電力会社の料金比較サイトを活用して、最適なプランを探してみましょう。
まとめ

エアコンのつけっぱなしと電気代の関係について、実験データをもとに外出時間別の判断基準や具体的な節約方法まで詳しく解説してきました。
30分以内の短時間外出ならつけっぱなしが節約になりますが、2時間以上の長時間外出では必ず消すべきです。在宅ワーク時は基本的につけっぱなしで自動運転を活用し、設定温度を適切に保つことが重要です。
- 30分以内の外出はつけっぱなし、2時間以上は必ず消す
- 在宅ワーク時は自動運転でつけっぱなしが効率的
- 設定温度1℃の調整で約10%の消費電力削減が可能
- フィルター掃除と扇風機併用で年間数千円の節約効果
- 暖房は冷房の約2倍の電気代がかかる傾向がある
ご自身の生活パターンに合わせて、つけっぱなしとこまめなオンオフを上手に使い分けることで、快適さを保ちながら電気代を効果的に節約できます。
